この記事に書いてあること

●65歳まで何も対策をしないと300万円以上、70歳まで何も対策をしないと1000万円以上も大損する可能性がある「社長の年金ゼロ問題」とは

●年金の支給停止を避けるための2つの方法

●年金をしっかりもらうためには、○歳までに事前準備をしておく必要がある

●「まだ年金をもらう歳じゃない」と安心していられない、若年層から必要な年金の準備とは?

●勘違いをして、違法なやり方で年金受給してしまうと、返還しなくてはいけなくなってしまう

 

奥野文夫さんインタビュー(Youtube版)

 

社長の年金コンサルタント 奥野文夫

年金

山倉陽平

インタビュアー 山倉陽平(以下、山倉):本日はWAVE出版より「社長、あなたの年金、大損してますよ!」を出版されました役員報酬最適化コンサルタント・社長の年金コンサルタントの奥野文夫先生です。

奥野先生は社長の年金専門家として、中小企業の社長・役員の年金問題救済のため、相談・コンサル・講演活動を全国で行なっていらっしゃいます。

奥野文夫社長の年金コンサルタント 奥野文夫さん(以下、奥野):社長の年金コンサルタント」の奥野文夫と申します。滋賀県大津市で、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーとして開業して、今年で19年になりました。

最近は「一般社団法人 社長の年金コンサルタント協会」を立ち上げ、中小企業のオーナー経営者さん向けの年金相談に特化した活動をしております。

山倉:著書の帯にも「社長の年金ゼロ問題を大警告」と書かれています。「社長の皆様が、年金を全く貰えない可能性がある」というのは、なぜそのようなことが起きるのでしょうか?

奥野:厚生年金保険法」という法律と関連しています。この法律で定められている「報酬と年金との調整のルール」があります。わかりやすく簡潔にお伝えすると、「社長や役員等として厚生年金に加入しながら、一定額以上の報酬を受けて働いていると、年金がカットされてしまう」ということです。

 

—-ちょっとした勘違いが数百万円の大損につながっている実情

 

奥野:年金が貰える年齢になるまで、毎年誕生月には「ねんきん定期便」が皆様に送られてきます。そこに書かれている「年金見込額」は、あくまでも「退職したら〇〇円貰える」ということ。年金を貰える年齢になり、退職していた場合に貰える年金の金額ということです。

そのこと自体をご存知ない社長さんも多くいらっしゃいます。

また、「報酬との調整で年金が止まる」と言っても、「止まっている年金が、65歳や70歳、または退職したら、後からまとめて貰える」と誤解されている方も多いです。

ところが65歳、70歳になって初めて、大きな勘違いをしていたことに気づき、「年金を全額貰えなかった」という残念な思いをする経営者の方が多いという事情になっています。

山倉:それが「大損していますよ」という部分に繋がってくるのですね。

奥野:一旦支給停止になった年金を後から貰うことは、できないということですね。「年金支給停止を避けるための正しい知識をお伝えしたい」という思いで、セミナーやホームページなどで情報発信をしています。

 

40万円以上の月額報酬を受け取っていると、年金が貰えない可能性が高い

年金が貰えない

山倉陽平山倉:「実際に自分が年金を貰えない可能性があるか?」を確認するためには、どうしたら良いでしょうか?

奥野文夫

奥野:貰える年金額は、過去の加入状況によって、それぞれ異なります。ただ、一般的な場合でお伝えすると、60代前半の方は、「報酬月額約40万円以上」であれば、年金は全額支給停止になります。

65歳以上の場合、「報酬月額約60万円以上」であれば、「老齢厚生年金」と呼ばれる年金は、全額支給停止になります。ですから、ほとんどの社長さんが、「年金が止まってしまう。」と、思って頂いて良いですね。

具体的に「自分が年金支給停止になるか」を確認するためには、各地の年金事務所にご相談して頂くか、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」という無料電話相談がありますので、それもご活用頂けます。

 

年金支給停止を避けるための2つの方法

年金が貰えない

山倉陽平山倉:年金支給停止を避けるための対処法を教えていただけますか?

奥野文夫

奥野:基本的な方策は2つあります。簡単な方策は「退職して厚生年金に加入しない状態になる」ということです。これはシンプルなパターンですね。

2つ目は「報酬を下げること」です。調整がかからない額まで、報酬額を下げるという対処をすることができます。

以上の2つは、年金を貰える年齢になるまでに、前もって事業継承準備をきちんとしていた場合に、有効な対策です。例えば「代表取締役を引退して後継者に譲る」とか 、「後継者の報酬を上げるタイミングで、自分の報酬を下げる」など。しかしながら、一般的な中小企業が、事前にその対策を取れていることは、かなり稀です。

そのため現実的な方策としては、「厚生年金保険法上の報酬にあたらないようなお金を会社から貰う」ということをお伝えしています。

「年金額と報酬額の調整」は、「厚生年金保険法」に定められております。その厚生年金保険法に定められている「報酬」に該当すると、年金の支給停止に影響します。しかし、 厚生年金保険法に定められている「報酬」に該当しないようなお金を会社から貰うのであれば、 全く違法性なく年金は貰えるようになります。

そういった「報酬に該当しないお金を貰う」パターンがいくつかありますので、それを現実的な対処法として考えています。

山倉:「報酬以外のお金を貰う」仕組みを作っていくことが、最も現実的な方策ということですね。

 

—–「その会社に合った方策をお伝えしています。」

 

奥野:現実的な中小企業の実態を踏まえた形での方策が、いくつかあります。例えば、「社長さん個人のお金を会社に長年貸し付けていた」ということがあれば、「報酬ではなく、貸したお金を月々返してもらう」という方策もとれます。それが年金の調整に関わる報酬に該当しないため、有効な手段です。

あるいは、「役員報酬を毎月定額で払う場合」と、「毎月定額ではない報酬設定をする場合」とでは、年金の支給停止に関わる金額が変わることもあります。

具体的には色々ヒアリングをした上で、その会社にあった方策をアドバイスをしております。

山倉:それぞれの会社や、社長さんにあった方策を検討していただけるということですね。

奥野:業種によっても「使いやすい方策」「使いにくい方策」がありますので、それぞれ調整していきます。一般的には、年金を貰えるようにするための選択肢自体も知られていないのが現状です。まずは「どういった選択肢があるか」を知っていただくだけでも、いいのではないかなと思います。

 

何歳から年金をもらうための準備を進めたらいいのか?

年金請求書

山倉陽平山倉:巻末の部分で「厚生年金に何歳まで加入するか?(何歳まで会社経営者として働くか?)、今後の報酬額をいくらにするか?、どの年金を何歳からもらうか?を早い段階から設計しておくことが大事」と教えていただきました。

年金をしっかりもらえるようにするためには、何歳頃からそれを考えておくのがオススメでしょうか?

奥野文夫

奥野:年金を貰える年齢になってから考え始めるのでは、少し遅くなってしまいます。できれば60歳までには、しっかり考え始めていただきたいと考えています。

年金をもらえる年齢になる3ヶ月前に、「年金請求書」と呼ばれる書類が郵送されてきます。それが届いてから一般の方は、年金のことをきちんと考え始めます。従業員の方の場合でしたら、そのタイミングでも間に合います。しかし社長さんの場合は、「役員報酬」という通常と違う報酬を受けていらっしゃるので、いつでも報酬を自由に変えられません。

具体的には、毎事業年度開始日から3か月以内しか、報酬の変更はできません。そのため自分の誕生月と会社の決算月との関係で、「年金をもらうために、報酬を変えなければいけない」と思っても、「今期はもう報酬は変えられない。」という状況になってしまうことがあります。そうなると最初の1年分の年金が、ほとんど貰えなくなります。

 

—-年金について準備を始めるのは59歳から

 

奥野:そのようなことが起こらないように、60歳までにきちんと「年金のこと」「今後の事業承継のこと」を考えておく必要があります。

59歳の誕生月に、 通常とは異なるA4版の水色の封筒で「ねんきん定期便」が届きます。そこには過去の年金加入記録がすべて印字されていますので、厚生年金に加入されている方であれば、それが届いたタイミングで、考えられるのが良いと思います。

その時に、「自分の場合はどうだろう」と年金事務所や、「ねんきんダイヤル」に問い合わせてみる。または、「年金の専門家に相談する」といったことをされると、安心して年金をお受け取り頂けると思います。

 

まず何の準備を始めたら良いのか?

年金定期便

山倉陽平山倉:では「ねんきん定期便」が届いた段階で、奥野先生のような専門家や、年金事務所、「ねんきんダイヤル」に相談してみることが最初の1歩としてよいでしょうか。

奥野文夫

奥野:そうですね。本を読んだり、資料を取り寄せたりしても、知識がないと分かりづらい部分もあります。そこでまずは、「自分の場合はどうなっているか」という現状をしっかり掴んでいただくと良いと思います。

また、お若い方で年金をもらう年齢にはまだ時間がある場合でも、知っていて欲しいことがあります。節目の年以外には、はがきの「ねんきん定期便」が届きますが、その読み方を間違えてしまい「年金は損だ」と誤解して「年金に加入しない」、「加入をやめてしまう」という方もいらっしゃいます。正しい知識を持ち、若いうちから公的年金にしっかり加入しておくことは、とても大事です。

山倉:「年金がもらえなくなる」など、様々な情報が出ておりますが、正しい知識をつけておくことは大事ですね。

奥野:今は「人生100年」と言われていますが、年金は長年加入して、長年貰うことになるので、正しい知識を持ってもらうことも大事だと考えています。

山倉:早いうちから本を読んだり、情報収集をしていきたいと思います。

 

社長の年金についての情報収集の方法・相談先の見つけ方

電話相談

山倉陽平山倉:この著書を読むだけでも、かなり基礎知識を得られました。本以外にも、年金についての情報を取得できるものや、奥野先生に相談する方法はありますでしょうか?

奥野文夫

奥野:ネット上でも、かなりの多くの年金情報が提供されています。ご注意いただきたいのは、多くの情報は会社員の方向けのものだということ。従業員の方や、60歳で定年退職した方向けの情報が多いですね。

社長さんのための年金の情報というのは、なかなか出ていないです。社長の年金の場合は、特別な点が多いので、従業員向けの情報を当てはめてしまうと、誤解をしてしまうことがかなりあります。

日頃、仕事をしていても「従業員向けの年金情報を社長さんが、自分に当てはめて勘違いしてしまっている」ケースがとても多かったことが、この本を書いたきっかけにもなっています。

 

 

—–社長の年金専門家として、日本一大量の情報発信をしている「FP奥野文夫事務所ホームページ

 

 

奥野:私のホームページでは、全国の経営者さんから無料のメール相談をお受けしています。全国47都道府県の経営者さんから、年金の支給停止についての同じようなご相談が寄せられています。まずはその無料相談をご利用頂くことも、良いかと思います。

また無料メール講座も用意しております。こちらは「そもそも何を相談したらいいかわからない」という方を対象とした、経営者の年金について、必要な情報をわかりやすい順序でご提供するメール講座です。

「FP 奥野文夫」などで検索していただければ、ホームページが出てきますので、ご利用ください。

山倉:先生に直接メールでご相談できたり、ステップメール講座で「どんな風に相談すればいいのか」を学ぶことができたりするのですね。まずはホームページをチェックして頂けると、かなりの知識が得られると思います。

 

知らずに違法なやり方で受給した年金は返還しなくてはいけない

ビジネスマン

山倉陽平山倉:年金制度の詳細な部分まで、社長様が独学で学んで、全て自力で対処するのは難しいとも感じます。奥野先生のような専門家の方々に、相談することのメリットはどんな点でしょうか?

奥野文夫

奥野:無駄な時間が省けることですね。「年金支給に関しての様々な条件が、自分に当てはまるのか分からない」ということも多いです。

またネットで調べたり、本を読んだり、先輩に聞いたりして、「自分もその状況と同じだ」と誤解されていることも多いのです。そういった「調べるのに時間がかかったり、悩んだり、誤解したり」してしまうことがなくなる、というのが1番のメリットです。

現状をすぐに把握してもらえること、そしてそれに対する方策が、スムーズに取れる」ことがメリットの1つ。

 

—–違法なやり方で支給された場合は、返還することになってしまう。

 

奥野:2つ目は、相談することで「間違った情報を信じてしまい、違法なやり方で年金受給をしてしまう可能性がなくなる」ことです。 ネット上には様々な情報が載っていますので、違法なやり方で年金を貰う方法が書かれている場合もあります。

違法なやり方で年金を貰っても、年金事務所の調査などで必ずバレますから「返せ」ということになってしまいます。年金返還となったら、結局「何をやっていたんだろう」ということになりかねませんよね。

専門知識がない場合には、「違法かどうか」という判断も難しいです。きちんと法律上の仕組みに基づいた上で、「対処法を絞って情報が得られる」という意味では、専門家に相談するメリットがあります。

実は「違法な方策で年金を貰ってしまった」という実例は、多いんですよね。

 

「59歳、60歳頃には自分の年金を見直してみてください。」

年金の事前準備

山倉陽平山倉:第一線でご活躍されてきた経営者様で、これからの人生や年金のことを考えていく方々に向けて、メッセージをお願いします。

奥野文夫

奥野:「年金の仕組みを誤解し、受け取れなかった」と後悔をされている方が、一様におっしゃるのは「目の前の仕事をやっていくことに精一杯だった。それなのに年金を受け取れないという仕打ちを受けるとは思わなかった。」ということです。

そういった非常に残念な思いを吐露されている姿をお見受けします。忙しいお仕事の中で、「ねんきん定期便」が届いても「中を見よう」と思わないかもしれませんが、ぜひ59歳、60歳頃には「自分の年金はどうなっているんだろうか」ということを1度でもいいので、きちんと見ていただきたいなと思います。そして「何もわからない」となってしまったら相談ください。

 

奥野文夫さん プロフィール

奥野文夫

 

奥野文夫

中小企業オーナー社長専門
役員報酬最適化コンサルタント
社長の年金コンサルタント
(一般社団法人社長の年金コンサルタント協会代表理事)

中小企業の60歳以上の現役社長様の中には報酬が高いため老齢厚生年金がもらえないという問題でお困りの方が多くおられます。

私は、そのような方々に対して役員報酬設定のコンサルティングを行うことで、お悩み解決のお手伝いをしています、役員報酬最適化コンサルタント・社長の年金コンサルタントの奥野文夫です。

高額の報酬を得ているために老齢厚生年金が全額支給停止になっている場合であっても、年収総額を変えずに役員報酬の支払い方を見直すだけで、年金を受け取れるようになる方法(『年金復活プラン』)をお伝えしています。

社長の年金に関しては、情報不足から誤解をしている人もおられます。

中小企業のオーナー社長の年金受給に際しては、厚生年金保険法や健康保険法の規定はもちろん、社会保険料、会社財務・資金繰り、役員退職金、本人の手取り収入やライフプラン・リタイアメントプラン、経営計画・事業承継計画等検討すべきことがたくさんあります。

お困りごと、お悩みごと等ございましたら、お気軽にお問合せください。

主な所属、登録団体、役職

  • 滋賀県社会保険労務士会
  • 労働保険事務組合 京都中小企業互助協会  理事長
  • 一般社団法人社長の年金コンサルタント協会 代表理事
  • FP奥野文夫事務所 所長
  • 奥野社会保険労務士事務所 所長
  • 人事・労務管理の実務家集団 一般社団法人 SRアップ21滋賀 副会長
  • 特定非営利活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
  • 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)「サイバー法人台帳ROBINS」確認者登録

 

書籍

(画像=WEBサイトより、クリックするとamazonに飛びます)

WAVE出版 ¥1,620

 

インタビューを終えて

山倉陽平山倉:「年金のことを考えるのは先のこと、自分にはまだ関係ない」。誕生月に「ねんきん定期便」が届くたびに、そんな風に感じていました。しかし今回、奥野先生の著書を読み、実際にお話を聞いてみると、「今のうちから将来のことについて考えておく必要がある。」と切実に感じました。

また両親がもうすぐ60歳を迎え、年金を貰えるようになる時が近づいてきています。そんな時に、「まずどこに相談すると良いのか」を知っておくだけでも、将来への不安が大きく減っていきますね。